羊羹(ようかん)、そうです、和菓子の。
私は以前、どちらかというと羊羹は苦手な食べ物でした。
甘いし、食べ終わった後もその甘さが口の中に残る気がして…
けれど大人になるにつれ、羊羹を含む和菓子全般の甘さを「悪くないな」と感じるようになりました。
これは味覚の変化もあるのかも知れないけれど、そもそも以前は「食べ方」や良さがわかっていなかったのかも。
羊羹にハマった理由
羊羹は確かに甘いんだけれど、お腹を満たすほどたくさんじゃなくて、脳へのエネルギー補給感覚の「甘さを心地よく思えるくらいの上品な量」にとどめれば、しつこさも感じず飽きないことに気付きました。
そして、飲み物との組み合わせ。
日本茶や、ストレートの紅茶、ブラックのコーヒーのような、甘味のない飲み物(かつ、個人的にはホット)のお供にすると、羊羹の甘さが適度なアクセントになって、何だかホッとできる気がします。
というわけで、甘さが口に残るのが苦手、と思っていたのも、傍らにさっぱりスッキリするような飲み物をちゃんと用意することで解決。
ただそうは言っても、世の中に美味しいものは数多あり、嗜好品の類である羊羹は、どちらかといえば「別に食べなくても困らないもの」とも言えます。
例えば私の場合、似たような嗜好品でいえば羊羹よりもチョコレートが好き…
でも、羊羹はビックリするほど災害備蓄品に向いています。
ある時、いただき物の羊羹をきっかけにそのことに気付いて以来、羊羹は我が家の常備品の一つになりました。
羊羹が備蓄に向く理由:1.賞味期限が比較的長い
入手しやすい大抵の羊羹は、賞味期限が半年以上は先です。
どんなに好きだったり、値段が手頃だったりしても、賞味期限があまり長くないものだと備蓄品としては少し心配。頻繁に日付をチェックするとか面倒ですから。
備蓄品向けとして製法やパッケージを工夫されているお菓子類もありますが、そういうのをわざわざ選ぶのはちょっと面倒だったり、割高感があったりもします。でも羊羹は、当たり前にごく普通に、賞味期限が長めなのがうれしいです。
羊羹が備蓄に向く理由:2.常温保存できる
冷蔵品や冷凍品だと、限りある冷蔵庫のスペースをとってしまうし、停電したらダメになっちゃいますよね。加えて、そのまますぐには食べられず温めや解凍が必要なことが多い。
その点、羊羹なら収納場所の自由度が高く、保管中から食べるその時に至るまで、余分な光熱費はかかりません。エコですね。
ところで私はチョコレートが好きなのですが、チョコレートって概ね28度以上で溶けてしまって品質が保てなくなります。冬場以外だと、常温保存にはあまり向きません。
羊羹が備蓄に向く理由:3.開封してすぐ食べられる
温めるとか、ましてや調理するとかの必要がありません。
強いて言うなら、切るくらい。ただし、食べきりサイズでスティック型の「ひとくち羊羹」なら、切る必要もなくそのまま食べられます。ナイフもフォークも必要ないので洗い物が出ず、災害時向きです。
大きな地震等が来た場合、上水道だけでなく、下水道もしばらく止まる覚悟が必要です。つまりと、仮に水がふんだんに手に入ったとしても、洗った後の水を流せないんですよね…
羊羹が備蓄に向く理由:4.かさばらずコンパクト
私の知る限り、いまどきのよく売られてる羊羹は、フイルムで密封包装されたものが、型崩れしないよう紙箱に入っています。
羊羹はそのように包装された状態でも、中身のサイズとほとんど変わらないコンパクトサイズです。四角張った立方体なので、収納するにも無駄な隙間を作らずにピタッとしまえます。
視点を変えて、食べることで得られる「満足度」や「エネルギー量」から見ても、羊羹はコンパクト。
甘さと、柔らかい割に溶けたりせず程よい食べごたえがあるので、羊羹を食べると思った以上に満足感があり、腹持ちも悪くないように感じます。原材料に豆を使っているからでしょうか。
エネルギー量も低くないですが、案外高すぎるほどではなくて、くらい。
「甘さの割に健康的で安心!」と、正直最初は驚きました。
羊羹が備蓄に向く理由:5.思った以上に色々な種類がある
ブルーボトルコーヒーが、コーヒーに合う羊羹、というコンセプトで数種類の羊羹を出してます。
羊羹らしさがありつつも、ドライフルーツが入っていたりして、味や香り、切った断面も楽しめたりします。
ブルーボトルコーヒーの羊羹をたまたま知った当時の私は、まだ典型的な羊羹しか知らなかったので、目からウロコというか、新しい世界がひらけたような新鮮さを感じました。そうか、お茶じゃなくてコーヒーでもいいよね、何なら紅茶でも。って、当たり前のことなのかも知れませんが、つい羊羹=和菓子=お茶と一緒にというイメージでした。
この、ブルーボトルコーヒーの羊羹の製造元は、という京都の羊羹専門店なのですが、では、ブルーボトルコーヒーで扱っているのとはまた別の、色々な種類の羊羹があります。
オシャレ系から王道感のあるものまで幅広く、パッケージもお洒落で、色々な種類を試したくなります。
そして、羊羹といえば王道中の王道、忘れちゃいけないのが、御進物にも選ばれる「とらや」の羊羹。
よそ行きの高級店というイメージがあって実際どんな羊羹があるのかを最近までよく知らなかったのですが、他店と比べて特別高いというわけでもなく、季節ごとの限定商品や空港限定品などラインナップも魅力的で、気になる存在になりました。
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ここまで延々、羊羹がいかに災害備蓄品に適しているかを語ってきましたが、災害はないに越したことはなく、賞味期限内には何事も起きず無事に過ごせることの方が多いでしょう。
なので私は「ローリングストック」として、普段から時折食べています。
例えばちょっと気分を変えたい時には、カットし品良くお皿に並べておやつに、とか、出先で休憩時間がゆっくり取れないような時、ひとくち羊羹を持って行ってカロリーメイトよろしくエネルギー補給に、とか。
それにしてもこんなに羊羹を語れるようになったのは、自分でもとても意外です。
人生に発見や出会いは尽きないものですね。